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私の好きな小説があります。
池波正太郎の作品で、「色(いろ)」。

主人公は新撰組副長の、土方歳三。相手は後家のお房。

恋でもなければ、夫婦になろうという前提でもないのである。
恋というものならば必ず男女が一つの地を歩み共に暮らすという欲求が付随するものだと歳三は考えている。
成熟した男と女が、出会いのたびに何もかも忘れて楽しみあうのが色事というものなのだ。

お房には稼業があり、家族がある。
歳三には命を賭した男の仕事がある。
だから恋が芽生えようはずがないのだ。

「お目にかかるときには、お互いの苦しみ哀しみは、きっと表には出さぬ約束」


つまり、生活とは切り離したところで、ふたりの付き合いは成り立っている。

最後に京をおちようとしている歳三が、泣き言を言おうとすると、お房はそれをぴしりと止めます。
「お約束が違います!」
その潔さ。

一緒に落ちようにも、自分には子供もいる、老いた親もいる。

色事は、お互いにいつの間にか恋に代わっていたけれども、それすら口にせず、ふたりは別れる。

これがです。
徹底的に生活を切り離したところで存在する。

結婚は、生活そのものです。
どちらがいい、劣るということではありません。
が、違うものであることは、確かなのです。
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